袖岡有機合成化学研究室
主任研究員
袖岡 幹子

- 略歴
- 1983
- 相模中央化学研究所 研究補助員/研究員補
- 1986
- 北海道大学薬学部 教務職員/助手
- 1989
- 千葉大学大学院薬学研究科 博士学位取得
- 1990
- 米国 ハーバード大学化学科 博士研究員
- 1992
- 東京大学薬学部 助手
- 1996
- 相模中央化学研究所 副主任研究員/主任研究員
- 1999
- 東京大学分子細胞生物学研究所 助教授
- 2000
- 東北大学反応化学研究所/多元物質科学研究所 教授
- 2004
- 理化学研究所 袖岡有機合成化学研究室 主任研究員
(現職)
- 2008
- 科学技術振興機構 ERATO 研究総括(現職)
研究概要
当研究室では有機合成化学を基盤として、(1)生物活性物質を効率良く合成する為の新しい反応や方法論の開発、(2)新しい生物活性をもつ化合物の創製、(3)合成した化合物を用いた生物化学的研究を行っている。研究対象は、遷移金属触媒を用いた不斉反応の開発から、細胞内情報伝達を制御しうる新しい低分子化合物の創製、ならびにそれを用いた生物化学的研究までと幅広い範囲に及ぶ。特に、細胞の増殖などに関わるタンパク質リン酸化酵素や脱リン酸化酵素に着目し、その選択的阻害剤の設計・合成を行うとともに、それを用いて標的酵素の生体内での働きを明らかにすることを目指している。また、独自に開発した新しい作用機序をもつ細胞死制御分子をプローブとして用い、未知の細胞死(ネクローシス)のメカニズムの解明を行っている。さらに、糖脂質であるガングリオシドの機能解明をめざしたプローブ分子の合成も行っている。その他、ユニークな生物活性をもつ天然物の全合成にも取り組んでいる。
最近の研究成果
有機合成化学を基盤として細胞内情報伝達のしくみに挑む

- 図1 ユニークな生物活性をもつ合成標的化合物
細胞にもたらされた外からの情報は核まで伝達され、増殖や分化など様々な応答がひきおこされる。この細胞内情報伝達の複雑なしくみを明らかにするためには、そこに関わる個々のタンパク質の働きを知る必要がある。我々はそのためのツールとなる選択的阻害剤の開発とそれを用いた細胞内情報伝達の制御のしくみの解明をめざしている。細胞内情報伝達タンパク質の機能制御には、タンパク質のリン酸化が重要な役割をはたしており、我々はタンパク質リン酸化酵素(プロテインキナーゼ)および脱リン酸化酵素(プロテインホスファターゼ)の選択的阻害剤の開発を行ってきた。細胞増殖の鍵酵素であるプロテインキナーゼC(PKC)、免疫細胞の活性化に重要な働きをするホスファターゼであるカルシニューリン、細胞周期を調節するホスファターゼCdc25などの選択的阻害剤の開発に成功した。さらにこれらの化合物をプローブとして用い、細胞内での標的酵素の機能解析も行っている。また、ヒストンメチル化酵素阻害活性をもつ天然物Chaetocinの誘導体や、ホオズキの成分で複雑な構造をもつPhysalin誘導体などの全合成にも取り組んでいる。さらにガングリオシドの機能解析のためのプローブ分子として加水分解耐性のフッ素置換C-シアロシド型糖脂質分子の合成も行っている。
また、我々は細胞死のメカニズムにも興味をもって研究を行っている。細胞の死に方には見かけ上2つのタイプがある。ひとつは細胞が縮小、断片化するアポトーシスと呼ばれる細胞死で、もうひとつは細胞が膨張して最後は破裂してしまうネクローシスと呼ばれる細胞死である。アポトーシスは細胞に備わった機能を積極的に使った能動的な死で、発生過程など生理的な条件下でみられ、その制御機構はほぼ明らかになっている。一方、ネクローシスは偶発的受動的な細胞死で、制御するしくみなど存在しないと考えられてきた。しかし、我々の研究室で開発したIM化合物は、アポトーシスを全く抑制せず、ネクローシスを選択的に止める事がわかった。さらにラットを使った心筋梗塞や脳梗塞のモデルでも傷害を軽減する効果を示したことから、我々の化合物が作用している未知の「ネクローシスを起こすしくみ」はこれらの疾病にも関与している事が示唆された。さらに、この化合物の標的タンパク質がミトコンドリアに存在していることもつきとめた。現在、この化合物を鍵分子として用いて、未知のネクローシスのしくみの解明に挑んでいる。
さらに、ラマン顕微鏡を用いた生細胞イメージングなどケミカルバイオロジー研究の為の新しい手法の開発も行っている。

- 図2
- ガングリオシドは細胞膜上の加水分解酵素NEU3で切断される。CF2連結型ガングリオシドはNEU3で切断されない安定性をもつ。

- 図3 新規細胞死抑制剤Indolylmaleimide(IM)誘導体
- IM誘導体は酸化ストレスにより誘導されるネクローシスを選択的に抑制し、抗癌剤やdeath ligandにより誘導されるアポトーシスは抑制しない。
主要論文
- H. Yamakoshi, et al. Imaging of EdU, an alkyne-tagged cell proliferation probe, by Raman microscopy, J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 6102.
- G. Hirai, et al. Development of a vaccinia H1-related (VHR) phosphatase inhibitor with a nonacidic phosphate-mimicking core structure, ChemMedChem 2011, 6, 617.
- M. Sodeoka, K. Dodo, Development of selective inhibitors of necrosis, Chem. Rec. 2010, 10, 308.
- A. Nakamura, S. Lectard, D. Hashizume, Y. Hamashima, M. Sodeoka, Diastereo- and enantioselective conjugate addition of α-ketoesters to nitroalkenes catalyzed by a chiral Ni(OAc)2 complex under mild conditions, J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 4036.
- E. Iwasa, et al. Total synthesis of (+)-chaetocin and its analogues: Their histone methyltransferase G9a inhibitory activity, J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 4078.
- M. Sodeoka, Y. Hamashima, Chiral Pd aqua complex-catalyzed asymmetric C–C bond-forming reactions: a Brønsted acid–base cooperative system, Chem. Commun. 2009, 5787.
- M. Ohkubo, G. Hirai, M. Sodeoka, Synthesis of DFGH-ring system of type B physalins: a Characteristic highly oxygen-functionalized and cage-shaped molecule, Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 3862.
- N. Umebayashi, Y. Hamashima, D. Hashizume, M. Sodeoka, Catalytic enantioselective aldol-type reaction of β-ketoesters with acetals, Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47, 4196.
- G. Hirai, T. Watanabe, K. Yamaguchi, T. Miyagi, M. Sodeoka, Stereo-controlled and convergent entry to CF2-Sialosides: Synthesis of CF2-linked ganglioside GM4, J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 15420.
- N. Sasamoto, C. Dubs, Y. Hamashima, M. Sodeoka, Pd(II)-Catalyzed asymmetric addition of malonates to dihydroisoquinolines, J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 14010.
主要メンバー
| 主宰者 |
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add |
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| 袖岡 幹子 |
Mikiko Sodeoka |
主任研究員 |
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| スタッフ研究員 |
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add |
delete |
| 平井 剛 |
Go Hirai |
専任研究員 |
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| どど 孝介 |
Kosuke Dodo |
研究員 |
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| 五月女 宜裕 |
Yoshihiro Sohtome |
研究員 |
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| ポスドク |
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add |
delete |
| 斉藤 竜男 |
Tatsuo Saito |
基礎科学特別研究員 |
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| シルヴァン・レクター |
Sylvain Lectard |
特別研究員 |
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2012.3.31 |
| フレデリック・ツオード |
Frederic Thuaud |
訪問研究員 |
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| 小沢 正晃 |
Masaaki Ozawa |
特別研究員 |
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| 北條 大樹 |
Daiki Hojo |
特別研究員 |
2012.4.1 |
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| 学生・研究生 |
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add |
delete |
| 加藤 麻理依 |
Marie Kato |
研修生 |
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| 清水 怜 |
Ryo Shimizu |
大学院生リサーチ・アソシエイト |
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| 早水 健二 |
Kenji Hayamizu |
大学院生リサーチ・アソシエイト |
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| 森田 昌樹 |
Masaki Morita |
研修生 |
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| 内田 貴子 |
Takako Uchida |
研修生 |
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2012.3.31 |
| 江越 脩祐 |
Syusuke Egoshi |
実習生 |
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2012.3.31 |
| 藤城 信哉 |
Shinya Fujishiro |
研修生 |
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2012.3.31 |
| 酒井 基成 |
Motonari Sakai |
研修生 |
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| 西澤 絵里 |
Eri Nishizawa |
研修生 |
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| 中村 元太 |
Genta Nakamura |
研修生 |
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| 技術系アシスタント |
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add |
delete |
| 大沼 可奈 |
Kana Oonuma |
テクニカルスタッフⅡ |
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| 客員研究員・客員技師 |
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add |
delete |
| 田村 結城 |
Yuki Tamura |
客員研究員 |
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| 淺沼 三和子 |
Miwako Asanuma |
客員技師 |
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| 井内 勝哉 |
Katsuya Iuchi |
客員研究員 |
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| 江上 寛通 |
Hiromichi Egami |
客員研究員 |
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| 佐藤 綾人 |
Ayato Sato |
客員研究員 |
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| ティト・アキンデレ |
Tito Akindele |
客員研究員 |
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| 山口 卓男 |
Takao Yamaguchi |
客員研究員 |
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| 山越 博幸 |
Hiroyuki Yamakoshi |
客員研究員 |
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| 安藤 潤 |
Jun Ando |
客員研究員 |
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| 岡﨑 正晃 |
Masateru Okazaki |
客員研究員 |
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| 宮﨑 亜矢子 |
Ayako Miyazaki |
客員研究員 |
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| 姜 文一 |
Moon-Il Kang |
客員研究員 |
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| 斎藤 洋平 |
Yohei Saito |
客員研究員 |
2012.4.1 |
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| 中西 修一 |
Shuichi Nakanishi |
客員研究員 |
2012.4.1 |
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