大森素形材工学研究室

主任研究員

大森 整

  • Hitoshi Ohmori
  • 工学博士
  • 大森 整
  • 略歴
    1991
    東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻 博士課程修了
    1991
    理化学研究所 素形材工学研究室 研究員
    1998
    同 副主任研究員
    2001
    同 主任研究員(現職)

研究概要

大森素形材工学研究室

素材に機能と形状を付与することは、「物つくり」の基本である。工業材料の主役である金属材料やプラスチック材料はもとより、電子材料、光学材料、セラミックス、複合材料などの分野で、加工困難な新素材が次々と登場し、また先進の高機能デバイスの開発においては、加工精度の超精密化、サイズの超微細化、形状の多自由度化、加工表面の高機能化等に対する要求が高まり、素形材工学の重要性は増大の一途をたどっている。当研究室では、素形材工学にブレークスルーをもたらす革新的な新加工技術の研究開発を行うとともに、その応用研究と実用システムの開発を進めている。当研究室で開発したELID(電解インプロセスドレッシング)研削法は、ELID研究会および工業界を通じて広く普及してきており、新しい生産分野で多くの成果を挙げている。また、ナノプレシジョン加工システムの研究開発、表面改質加工法およびナノレベルの超平滑加工法の研究開発を通して、微細表面構造および表面機能を創成するマイクロメカニカルファブリケーションの研究領域へと展開を進め、次世代の微細光学素子や電子デバイス、マイクロツール開発など、基礎科学研究から産業界への応用までブレークスルーをもたらしつつある。

最近の研究成果

ナノプレシジョン・マイクロメカニカルファブリケーション

非球面X線SiCミラー
図1 非球面X線SiCミラー

当研究室では、先端科学分野および産業分野において心臓部品を作りだす革新的な新加工技術の研究開発を行うとともに、その応用研究と実用システムの開発を進めている。

具体的研究成果として、CVD-SiCミラー(図1)、宇宙X線用大型ミラー、シュミットレンズ、中性子物質レンズ(長尺楕円ミラー、フレネル形状、プリズム)、ニオブ酸リチウム、単結晶SiCなど様々な難削・脆性材料に対して、微細な表面加工を延性モードで実現するための諸条件を検討し、良好な高精度鏡面加工を実現している。また、レーザー光学系用集光ミラーやガラスレンズ成形用材料として期待されるバルクCVD-SiCの高品位超精密加工も行っている。次世代高出力マイクロチップレーザーの高精度加工法として、ELID研削の適用が検討されており、Yb:YAG薄片チップの高精度凹面加工にも成功している。

また、ELID研削法を搭載し、必要な運動精度と安定性を実現するナノプレシジョンELID研削システムの開発も行なっている。これは、1nm分解能で4~6軸の同時制御駆動機構の加工システムであり、自由曲面を有するマイクロ光学素子金型などの複雑形状に対して小径ツールを用いて超精密・超微細な高品位加工が可能である。開発した全静圧ELID鏡面加工機を用いて、400mm長尺で高精度なXFEL(X-ray Free Electron Laser)ミラーの製作に成功している。

さらに、3次元複雑形状を有するマイクロ金型加工に必要となる極微細メカニカルツールの開発を行っている。ELID鏡面研削法の応用により、表面に破壊起点を生じさせないナノクオリティ、かつ高アスペクト比を有するマイクロツール加工を実現している(図2)。一方で、ELIDホーニング工法を自動車産業界と合同で開発し、エンジンブロック内面の仕上げ加工に適用し、量産化に成功している。

さらに、超精密機械加工プロセスと同時に、材料表層に微細な酸化拡散現象を発現させるという新しい表面改質加工プロセスの開発を行っている。本手法により、膜厚20~200nmの非晶質酸化皮膜の創製に成功しており(図3)、さらに加工表面の耐食性、トライボロジー特性、濡れ性や生体適合性なども改善できる基礎的成果が得られている。

また精密加工に関して、超短パルスレーザーを利用した非熱加工による精密加工を実用化するために、炭酸ガスレーザーと同等の効率が得られるYb:YAGセラミックレーザーの開発を推進した。その結果、Yb:YAGセラミックを利用して、世界初のフェムト秒パルスの発振に成功した。今後、本レーザーを用いた微細加工の成果が期待される。

先端径1µmのマイクロツール
図2 先端径1µmのマイクロツール
ELID研削後のTi合金表面(TEM断面像)
図3 ELID研削後のTi合金表面(TEM断面像)

主要論文

  1. H. Ohmori, et al. Surface Generation of Superior Hydrophilicity for Surgical Steels by Specific Grinding Parameters, CIRP Annals 2009, 58, 503.
  2. H. Ohmori, K. Katahira, J. Komotori, M. Mizutani, Functionalization of Stainless Steel Surface through Mirror-quality Finish Grinding, CIRP Annals 2008, 57, 545.
  3. H. Ohmori, K. Katahira, Electrolytic In-Process Dressing Grinding of Ceramic Materials, in Handbook of Advanced Ceramics Machining, ed. by I. D. Marinescu, CRC Press, 2007, 147.
  4. H. Ohmori, et al. Microscopic Grinding Effects on Fabrication of Ultra-fine Micro Tools, CIRP Annals 2007, 56, 569.
  5. H. Ohmori, K. Katahira, A. Akinou, J. Komotori, M. Mizutani, Investigation on Grinding Characteristics and Surface-Modifying Effects of Biocompatible Co-Cr Alloy, CIRP Annals 2006, 55, 597.

主要メンバー

主宰者 add delete
大森 整 Hitoshi Ohmori 主任研究員    
スタッフ研究員 add delete
和田 智之 Satoshi Wada 副主任研究員(光グリーンテクノロジー特別研究ユニット ユニットリーダー)    
片平 和俊 Kazutoshi Katahira 専任研究員    
横田 英明 Hideaki Yokota 連携促進研究員    
ポスドク add delete
水谷 正義 Masayoshi Mizutani 基礎科学特別研究員    
国村 伸祐 Shinsuke Kunimura 基礎科学特別研究員    
学生・研究生 add delete
技術系アシスタント add delete
上原 嘉宏 Yoshihiro Uehara テクニカルスタッフⅠ    
八須 洋輔 Yousuke Hachisu テクニカルスタッフⅠ    
春日 博 Hiroshi Kasuga テクニカルスタッフⅠ    
利根 直樹 Naoki Tone テクニカルスタッフⅡ    
金 允智 Yunji Kim テクニカルスタッフⅡ    
事務系アシスタント add delete
客員研究員・客員技師 add delete
その他のスタッフ add delete

()は理研内本務先。

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