基幹研究所は、様々な段階(ステージ)にある研究を5つの最適な研究組織で変幻自在に支えています。「研究室・研究ユニット」で新たな研究の芽を生み出し、「基礎科学研究課題プロジェクト」でその研究の芽を育て、「研究領域」でさらにその芽を大きく育てて戦略研究センターや研究基盤センター、世界の中核的研究拠点へと花開かせます。「先端技術基盤部門」がこれらを技術的に支え、「連携研究部門」が研究基盤と成果を理研内外の研究組織と有機的に結びつけています。そして、戦略研究センターや研究基盤センターから新しい研究の種が生じた場合には、基幹研究所で芽吹かせ、再育成しています。この流れを「研究循環システム」と呼んでいます。
基幹研究所は、理研の研究循環システムの心臓の役割を担い、そのダイナミックな循環を維持しています。
かつて理研は「科学者の自由な楽園」と賞賛され、主任研究員と呼ばれる研究者たちの自由な発想に基づいた研究によって、さまざまな成果が生み出されてきました。基幹研究所は、理研の中で最も強くその流れを受け継いでいる組織です。
基幹研究所の主任研究員研究室では、研究者の自由な発想によって、研究分野にとらわれない多様な基礎研究から、新たな研究の芽を生み出し続けています。
続々と生まれてくる新しい研究の芽。その中でどの芽が、新しい研究領域へと大きく育ち得るか、国の科学技術戦略を先導する研究領域となり得るか、将来性を見極めることが重要です。
基幹研究所では、研究室から生み出された研究の芽をボトムアップ方式で、分野融合・連携型の基礎科学研究課題プロジェクトとして育てる仕組みを持っています。また、どの芽を研究領域としてさらに大きく育てるべきかの評価は、研究者が行っています。科学の最先端を熟知している研究者の厳しい視点で評価するからこそ、信頼性が高く、大きく育つ成功率も高いのです。
交差相関物性、エクストリームフォトニクス……。基幹研究所のグループやチーム名には、目新しい言葉が並んでいます。それらは、基礎研究から生まれた新しい芽が連携・融合研究によって大きく育った、新しい研究領域です。
かつて、研究の芽を最先端の研究領域に育む役割を担ってきた理研のフロンティア研究システムからは脳科学総合研究センターなどが、主任研究員研究室からは植物科学研究センターや仁科加速器研究センターなどが生まれました。このように新しい研究領域を、戦略研究センターや研究基盤センターへ、さらには世界の中核的研究拠点へと発展させていくことも、基幹研究所の役割です。
研究者の個人研究から生まれた小さな芽を大きく育て、新しい研究領域として花を咲かせるには、連携や異分野との融合が不可欠です。科学に国境はありません。基幹研究所は、自然科学の総合研究所としての利点を生かし、理研内の戦略研究センターや研究基盤センターだけでなく、国内外の研究機関、大学、企業とも連携して、研究分野を越えたスケールの大きな研究を展開しています。
理研は、自然科学のあらゆる分野の研究を行っています。その多様性を生み出しているのは、基幹研究所なのです。基幹研究所は、「理研の活力の源」です。
国の科学技術政策の担い手であり、また国の政策を先導する理化学研究所の中核。そして、日本のみならず海外からの研究者が自由に行き交う活気あふれる研究所――基幹研究所は、そうありたいと思っています。